それから、性的虐待が始まった。
夜中に兄が私の布団に入って来て触る。
パンツを脱がされ、局所を触られ、
あとはどんなことがあったか、
よく覚えていない。
最後まで行く前に、いつも逃げ出していた。
途中までは固まって寝たふりをするのだけれど
最後まで行くのは怖くて、途中でガバッと起き上がり、
パンツとズボンを引き上げて、
家の中で唯一鍵のかかる場所、
狭いトイレに逃げ込んだ。
そして、兄が諦めて、自室に帰るまで
じっと息をひそめて隠れていた。
冬は寒くて寒くて、身体が震えたように思う。
両親は一度も起きてこなかった。