私の仲裁をきっかけに、
両親の喧嘩は止んでいった。
母が仕事にのめり込み始めて
父への怒りを手放したからかもしれない。
母は仕事に一生懸命だった。
先に書いたように、父の収入を上回る勢いだった。
今度は、父が苛立ち始めた。
母の帰宅が遅いことを責め、父より遅く帰った日に、玄関の鍵を掛けてしまうことがあった。
自分の収入だけで、生活出来るはずじゃないか、と言っていた。
母の稼ぎのお蔭で、ちょっと高級なレストランに行けたりして、私は子ども心に嬉しかったけれど、家の中は、やはりギクシャクしていた。