家の中。
弟と一緒の二段ベッド。
なにかあると感情を爆発させていた、私にとっては安全な場所だった自室で
兄からの性的被害にあったのは、自分の安全神話の崩壊だったのだと思う。
大好きな兄。
安全だと信じ切っていた自分の部屋。
その二つから裏切られた。
兄から触られることを拒めない自分。
自分も共犯者なんだと思った。
だから、父や母には一言も言えなかった。
兄から逃れて一階のトイレに避難しているとき、
父母が起きてきたことは一度もない。
けれど、もし父母と鉢合わせしたとしても、
たぶん、言い訳だけして、助けは求めなかっただろうな。
世界は裏切る。
信用ならない。
そんな崩壊した後の世界で生きるのは
やっぱり「サバイバル」でしかなかったのだと思う。