母のあたたかい思い出も書いてみる。
小さいころ、お風呂に入れてもらった時、
横抱きに抱えられて、頭を洗ってもらうのが大好きだった。
とくにシャンプーをすすいでくれるところ。
温かいお湯と、頭をくるくると優しく撫でられるのが、とても気持ちがよかった。
それから、炬燵で寝てしまうと、抱っこしてお布団まで運んでくれた時。
わざと寝たふりをして、何度も抱っこしてもらった。
まぁ、少し大きくなったら、そんな甘えは効かなかったけれどね。
それから、気性が激しい分、明るい人だった。
母が笑っていると、太陽が照っているようだった。
私は、母に愛されたいと思っていた。
それは、ずっと、ずっと。
そして、愛されない、と悲しかった。
それも、大人になるまでずっと。
母が亡くなって。
父が亡くなって。
父の葬儀の通夜のとき。
兄と弟と三兄弟で夜中まで起きて、グダグダと話をしていたとき。
三人が三人とも、「自分が一番愛されていない」と思っていたことを知った。
兄は、私が一番愛されていると思っており、弟は兄が一番愛されていると思っていた。
私は、弟が一番、兄が僅差で二番だと思っていた。
不器用な人たちだったんだなって、その時思った。
子どもたち三人全員に「自分は愛されていない」と思わせてしまうなんて。
それとも、子どもは、どんな風に育てても、
「自分は愛されていない」
と思い込んでしまいがちなのだろうか。
いや、やっぱり、そんな家庭ばかりじゃないだろうな。
やっぱり、不器用な人たちだったのだろうな。
過去をつらつら振り返って、そう思う。