虐待サバイバー コマクサの憂鬱

虐待サバイバーの回復への道

生理が不順な娘に掛ける言葉

私は小学校五年生の時に初潮を迎えたけれど、

始まった生理は、非常に不安定だった。

毎月なんて絶対にこない。

ふた月に一度ぐらいが普通で、

これで大丈夫なのか? 

不安に思うこともあったけれど、

母には、相談できずにいた。

 

しかし、ある時、五か月来ないことがあって、

さすがに不安を一人で抱えていられなくなり、

街に二人で買い物に出かけたときに、

横を歩いている母に、打ち明けた。

 

「生理が五か月こないんだけど、

私、大丈夫かな」

 

母は、厳しい顔で私をじろりと睨み、

 

「お前、まさか変なこと、してないだろうね?」

 

と言った。

最初、何を言われているのかわからなかったけれど、

あ、妊娠してないかっていうことか!

そういう行為をしたんじゃないかって

母は疑っているのか! と思い当たった。

びっくりして、

まだ中学生でそんなことありえないのに!

と思って、慌てて否定した。

 

「なんにも、してないよ!」

 

母は、本当に? と念を押し、

本当だよ! と私が言うと、

話はそれで終わりになった。

 

生理が不順で不安になっている娘に

その身体を心配するような言葉は、

なにひとつ貰えなかった。

 

 

私は、

「大丈夫なの?」

と心配されたかった。

または、

「まだ身体も未成熟だから、

そういう不順っていうこともあり得るよ。

また五か月ないとか、続くようだったら、

念のために婦人科に行こうか?」

というような、大人の考えや

アドバイスが欲しかった。

それなのに、母が心配したのは、

私が「不純異性交遊」をしてないかどうか、

ただそれだけだった。

 

・・・母に、体調のことを話しても

無駄だ・・・。

私は、そういうことを学んだのだった。