虐待サバイバー コマクサの憂鬱

虐待サバイバーの回復への道

嫌いな人

少しびっくり。

少し憂鬱。

 

短歌に本気で向き合っている。

と、ネットニュースで流れてきた、

お仕事短歌の入選作が流れてきた。

俵万智さん選の短歌として

マキちゃんの短歌が紹介されていた。

それもニ首。

「出版社勤務の方の歌」として。

名前もフルで同じだったし、住む場所も同じ、

歌に詠み込まれていた本がウチの会社の本だったから

マキちゃんに違いない、と思った。

 

なんてこと、とショックだった。

 

マキちゃんは、私が会社を辞めるきっかけになった子だ。

彼女が鬱で休職していた時期も、

一緒の部署で時短で働いていた時も、

彼女を全力でフォローしていた。

彼女がある人からストーカー被害を受けてる、

と私に相談してきた時も、

一緒に上司に相談をして、助けたつもりだった。

ただ、ちゃんとストーカー被害の話を

(上司と一緒に)聞いてみたら、

電車で会って最寄り駅まで一緒だったのが

三年の内に三回。

あとは社食で何回か、同じテーブルに座られて

「遠慮して」って言ってもどいてくれなかった、

という話だった。

三年の内に三回電車で一緒になっただけのことを

ストーカーとは、一般的に言わないだろう。

「ストーカーされた、怖い!」

とLINEで相談された日は、

社から家に帰ってきてもLINEがやまなくて

対応にくたびれた。

でも、性被害にあったことのある私は

そうして怖がっている彼女を放って置けなかったし

詳細を聞いて自分も潰れるのが怖かったから

あまり詳しく聞かずに上司に繋いだ。

性被害というのはどれだけ小さなことでも

女性が「嫌だ」と思った時点で、「被害」だと

思っていたし。

それでも流石に、話を聞いて呆れた。

三回じゃストーカーって言わないよって。

社内の立場も、彼女の方が上だから、

一般に言うパワハラにも当たらない。

性被害も一般的には立場が上の人から

下の人にされるのが普通で、その点も違うと思った。

それでもそうして「被害」を言いたてられれば

上も動かずにはおられず、

名指しされた人は、部署を渡って、

その部署の上から注意を受けた。

我が社から見れば下請けの会社から派遣されてきていた彼は

その後しばらくして退社していった。

 

二人で上司に相談に行ったあと、

私は上司に

「あなたもこんなことで騒がない方がいいよ」

と言われた。

マキちゃん本人には言ってなかったから、

要は私の段階で話を止めておけっていうことだと思った。

詳細を聞いていれば私でも、

「それはストーカーとは言わないんじゃない?」

と言ったことだろう。

でも、私は詳細は彼女から聞かなかったし、

(聞くのは私には荷が重かったし)

なんの役職もない私の役目でもないと思ったし。

 

でもその時、この子は変だなって、

ちょっと思った。

 

彼女がその何年か前に休職した時は

「上司からパワハラされた」

っていう話だったし、

パワハラにセクハラ(ストーカー)?

そんなこと、続くかなって思った。

なおかつストーカーとして訴えてきたのが

あまりに小さなことだったので、

前のパワハラも「本当にそうだったのかな」って

疑問が沸いた。

オットに言ってみると、

「そんな短期間にパワハラ、セクハラと

続くことはあまり聞かない。

その人がおかしいんじゃないの?」

と言っていた。

 

 

そんなことがあった後。

時短勤務の彼女のフォローを

私は自分なりに一生懸命やっていた。

仕事で他部署の子から内線電話があって

なにかを強い口調で言われてパニックになっていれば、

私の担当とマキちゃんの仕事を交換して

その他部署の子と関わらないように配慮したし

時短勤務でマキちゃんが出来ない部分も

私が立ち回ることで補っていた。

 

それなのに、いくつかの行き違いのあと、

マキちゃんは私のことを、出版局の局長と

総務に相談しに行った。

曰く、急な休みが多くて困っている、

注意してくれないか、という話だった。

確かに体調不良で、急に休むことは多かった。

でもそれは有休の範囲内だったし、

自分の担当の仕事がある時は避けて

マキちゃん一人で出来る時だけだった。

総務に呼び出され、たびたび休むみたいだけど

体調が悪い?と聞かれ、

まだ乳癌の手術の後遺症があり、

正直万全の体調ではない、

無理しているから急に休むことも多く、

迷惑をかけているかもしれない、と言った。

社に常駐している心理職の人にも会うように言われ

面会をしたら、その心理職の人は、

私が知っているマキちゃんとは人が違うよう、

私はマキちゃんの方に、もうメンタルは

随分良くなってるからフルタイムで働くよう

言っているのだけど、まだ病んでるのかな、

という反応だった。

この件でも、私が悪いと言うより、

マキちゃんが無駄に騒いでるという捉えられ方で

次の人事異動で私はその部署に残り、

マキちゃんが受付に異動になった。

それでも、私は、私のことで

出版局の局長を煩わせたことも

(その時ちょうど社長が交代したところで

業務畑から社長になった人を

作家に紹介して歩くのに局長は忙殺されている時だったから余計)

総務にまで話がいったことも申し訳なく

ショックなことだった。

マキちゃんが人事異動で部署が変わるまで

彼女の前では、責められることがないように

細心の注意を払っていて緊張したし

彼女が異動でいなくなった直後、

それまでの緊張が緩んで、倒れたのだった。

それまでの幾つかの出来事から

マキちゃんは「仮想敵」を作って

いつも自分が「被害者」じゃなくちゃ

いられないのかな、と思った。

それも可哀想だなと思ったけれど

あれだけ励まし、フォローし、

上司に悪印象を与えてまで庇ったのに

そんなマキちゃんから被害を訴えられたのは

私には痛手すぎた。

パワハラと訴えられていたその時の上司も

冤罪だったのかな、と思った。

 

 

もう会いたくないし、

名前も見たくない人だった。

のに、短歌で被るとは。

こんなところで名前を見るとは。

それも私よりも先に行っているとは。

地味にショック。

 

いろんな結社誌を取り寄せてみると

「コスモス」という結社に名前があった。

なので、「コスモス」入会は私には有り得なくなった。

 

一生で数人しか居ない、私の「嫌い」な人。

自分に人を嫌うということを許した人。

その人と同じ道を歩いているのが、嫌だ。