虐待サバイバー コマクサの憂鬱

虐待サバイバーの回復への道

先代

あのね、昨日、先代に会って頂いたの。

で、誕生日プレゼントのマフラーを贈ったら、とても喜んでくださって。

すぐに巻いてくださって

「手編みのマフラーなんて、子どもっぽいですから、箪笥の肥やしにしてください」

と言っても、

「いやいや、使うよ!」

って。

とても嬉しかった。

 

そしてね、今回お会いしたら、手を握りたい、触れたいって気持ちが強くてね。

「私のわがままを、させてくださいませんか?

隣の席に座って、手を握っていいですか?」

と言うと、

「お前、何歳になったんだよ」

ちょっと呆れたように言い、いきなり時計を見始めて

「あ、もうお時間がないですか?」

って聞いたら、

「いや、何秒にしようかと思って」

と言うので、

「秒ですか!」

と言いつつ、隣に座らせてくださって。

手を握って。暖かくて、気持ちが和らいで。

いろいろ、ポツポツと話しながら。

 

「四日前に、ぽっと『死にたくない』って思ったんです」

って言ったら、

「え、お前、今なんて言った?

顔をあげて、俺の目を見て言ってみろ」

って言って、同じことを目を見ながら言ったら、

「やったな!!」

って喜んでくださって。

頭をパシパシ叩いて、お前、やったな!って、何度も繰り返して。

「死にたいばかり言って、電話を何度もかけてきて。その電話にでないと、本当にやってしまいそうで、俺は会議を出てまで電話をとって。

お前、ようやくそう思えたのか!」

って。

 

すっごく喜んでくださって。

 

「よくそこまで行ったよ。

俺の勝ちだな!

この前の事故だって守られたんだ、お前にまだ生きろって言われてるんだよ」

 

「頑張ったな、よく頑張った」

 

って。

手を強く握ってくれて。

私は泣いてしまって。

 

とてもとても喜んで下さる先代の姿が嬉しくて。

とても暖かい気持ちが流れてきて。

 

そんな、天国に行ったような、幸せな時間を過ごしたの。

まだ余韻がある…。

こんな時間が、先代と持つことが出来て、本当に本当に嬉しい。

 

そんなでした。