虐待サバイバー コマクサの憂鬱

虐待サバイバーの回復への道

始まりは

その出来事の始まりは、ただの遊び。

それまでに何度も繰り返していた、

兄と二人のプロレスごっこだった。

 

場所は二階の、私と弟の部屋。

男の子のように育った私は

荒っぽい遊びも大好きだった。

 

大好きな兄の真似をして

プラモデルも作ったし、ミニカー遊びもした。

その流れの中での、プロレスごっこだった。

 

 

兄は簡単に私をいなし、

布団のマットレスで私をグルグル巻きにした。

私はギャーギャー言いながら、笑っていた。

 

なのに。

 

布団でグルグル巻きにされて、動けない私に

兄はいきなりキスをした。

 

 

驚いて、動けずにいる私に、兄は、

 

「お前も欲求不満だったんだな」

 

そう一言残し、

その場を去っていった。

 

 

私はそのあとどうしたのか、

全く記憶がない。

 

だけど、それが始まりだった。

それが始まりだったのだと、思う。