虐待サバイバー コマクサの憂鬱

虐待サバイバーの回復への道

空白の春休み

中学2年生から3年生になる狭間の春休み。

私は、ぼーーっとしていた。

 

家の近くの林に出かけ、

すみれの花を探した。

紫色の小さな花。

最初に春を連れてくる可憐なすみれが、

私は大好きだった。

 

小高い丘がお気に入りで、

草の上に寝転んで、

眼下に広がる田んぼの景色を眺めていた。

空高くでひばりが啼く。

 

学年の狭間で、私には属する集団がない。

〇年×組、というような肩書のない、

なにでもない自分。

自由、のような気がした。

伸びやかだった。

勉強も、部活も、クラブもなにもない。

追われるもののない、空白の時間。

 

勉強を頑張れば認められる。

そんな「目標」を失ったとき。

私は、ひたすら、ぼうっとして過ごした。